獅子龍セラトサウルス


熱心な怪獣ファンの間には、“高山良策恐竜”という言葉がある。ひょっとしたら、
自分の周りだけかもしれないが、
名匠・高山さんの“恐竜造型”をそう称して呼ぶファン
(マニア)が僅かでもいる事実だけは確かだ。それだけ高山さんが造る恐竜には独特の味わいがある。
高山さんの造る“怪獣”に他の追随を赦さぬものがあることを今さらここでとやかく書く必要はなかろう。
アイラブゼム、OK! という一語ですべてが片付いてしまう。

 しかしこと“恐竜”になると、ちょっとニュアンスは変わってくる。自分は高山さん
の造る怪獣も恐竜も大好きだ。だが、恐竜には少なからずわだかまり(こだわり?)を
抱くファンも存在する。それは何故か? 高山さんの造る怪獣と恐竜には微妙な差異が
認められるからだ。
ペギラゴモラなどの高山怪獣の表情と、『怪獣王子』(67年)
獅子竜(セラトサウルス)ら恐竜たちのそれに違いのあることは一目瞭然。同じ“ネス
湖のネッシー”をモチーフにし乍ら、
大橋史典造型のネッシー(『怪獣王子』登場)と
『戦え!マイティジャック』(68年)ザウルス(第18話登場)とでは、まるでイメー
ジの異なることからもお解り頂けよう。

 高山恐竜の特徴をひと口に言えば……そう、
恐竜戦車の顔を思い浮かべるといい。怪
獣に比べて顔がいささかキツイのだ。
ペギラゴモラの眠そうな目(表情)と並べれば
それは明確だろう。

 この辺りは、
形態学的怪獣論のオーソリティーにして、名獣・レオゴン、ビオランテ
の生みの親である
小林晋一郎先生にご解析頂く他はないが、高山さんが意図的に、架空
の生物である怪獣とは雰囲気が変わるように、過去に現存した生物・恐竜の表現に手心
を加えられたのか否かは、今となっては確かめようもない。